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122 第111話

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深夜のちゃんねるフリーダム。報道以外のほとんどのフロアの電気は消えている。そのなかで社長室の電気だけは煌々と灯っていた。
「ま、かけて。」
「あ、自分外します。」
「いやいい。デスクも一緒にいてくれ。」
「あ、はい。」
安井と黒田がソファに座るのを見届けて、加賀は立ち上がった。
そして二人の前まで来て、なんの予告もなく安井の顔面を拳で殴りつけた。
殴打音
「あ…が…。」
「社長!」
「デスクは黙ってろ。」
自分の拳をハンカチで拭いながら、加賀は安井と向かい合いようにソファに腰を掛けた。
「ひとりでなんでもかんでも背負うんじゃねぇよ。バカが。」
「…。」
「安井君。なんで俺に相談してくれなかったんだ。なんで黒田君にも相談してくれなかったんだ。俺ら三人はちゃんフリ立ち上げのメンバーだろ。」
「…。」
「言いたくないのか。」
安井は加賀の問いかけに答える様子はない。ただうつむいて加賀とも黒田とも目を合わせないようにしている。
「言いたくないなら聞かない。ただし黙秘をするということは君の考えは俺の解釈に一任するってことでいいんだな。」
「…。」
「反論の余地はなくなるぞ。」
「…。」
「いいだろう。」
こう言うと加賀は立ち上がった。
「原因究明はひとまず置いておいて、まずは原状回復だ。安井君。マスターデータをどこに保管している。」
安井は持っていた自分のリュックから外付ハードディスクを数個とりだして、机の上に置いた。
「これで全部です。」
「よし。じゃあ早速ここから対象のデータ抽出して、配信停止しているやつ復旧をしてくれ。」
「社長…。」
ようやく安井は加賀の顔を見た。
「なんだ。」
「何も聞かないんですか。」
「何を聞く。」
「どこにこれを隠していたとか。一体どういう管理をしているんだとか。」
「…。」
「そもそも何でこんな事をやったのか。」
加賀は安井の言葉を遮った。
「言ったろう。原因究明なんざしてる暇はないんだ。いまは原状回復が最優先。君の文句を言えば24時間あっても足りない。さっさと取り掛かってくれ。」
「あ…。」
「言わなくてもわかってる。安井君。今回のこと、君なりの思いやりの結果だったんだろう。その正否を問うほどいまは時間はない。幸いウチの会社も被害は今の所軽微だ。そして三波君。彼の容態も安定している。」
今まで張り詰めていたものがプツンと切れた瞬間だった。
安井は嗚咽した。
「安井。徹夜だぞ。」
かつては相撲部としてならした安井の大柄な体も、この状況下では虫のように小さくなっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつものように頭から布団を被って寝ていた椎名。その彼の側に忍ばされた携帯電話が無音の状態で光った。空閑からのメッセージだった。
「遅くにすまん。緊急で知らせたいことが起こった。」
椎名は携帯電話を自分に引き寄せ、布団のなかでそれを操作していることが悟られないように、フリック操作でそれに返す。
「何だ。」
「クイーンと連絡が取れなくなった。」
この表示に椎名は手を止めた。
「この切羽詰まった状況で一方的にこちらからの連絡手段を遮ると言うことは、二つ可能性が考えられる。ひとつはあいつが警察の手に落ちた。もう一つはあいつが裏切った。」
「落ち着け。早まるな。」
「早まってなんかいない。悠長なことは言ってられない。」
「だから落ち着けって!」
空閑からのメッセージが一旦止まった。
「確かにこのタイミングで連絡が取れなくなるのは不自然だ。ビショップ。お前、クイーンと何かあったか。」
「鍋島にしてもらった。」
「えっ?」
「俺を鍋島そのものにする催眠をかけてもらった。」
「なんだ…それ…。」
「話すと長くなる。とにかく俺はあいつの手で鍋島能力を手に入れた。」
「待て。鍋島能力ってまさか。」
「そう。ルークが欲しがっていたやつさ。」
「実用化できたのか。」
「多分。実際俺はクイーンにもちゃんフリの三波って奴にも使って、その効果を得た。」
「具体的には。」
「俺とのやり取りを記憶から消し、クイーンには病院に戻っていつものように振る舞え。三波には家で引きこもれって暗示をかけた。結果その通りの行動を二人はとった。」
「やったな!とうとうやったな!おめでとう!」
「でも…。」
「でも?でも何だ。」
「今、その二人はなぜか石大で合流している。」
「何だって…。」
「そこで音信不通ってわけだ。」
空閑は続けてメッセージを送ってくる。
「どうだキング。クイーンの奴、警察の手に落ちたか裏切った、どっちだと思う。」
椎名はこの返事を打つために1分ほど間をおいた。
「どっちも疑った方がいい。」
「どっちも?」
「ああ。警察の手に落ちて、こちらからの接触を絶っている可能性もあるだろう。」
「なるほど。」
「いずれにせよ手を打った方がいいな。」
「どう手をうつ。」
「少し考えさせてくれ。」
「時間がない。」
「今の状況でバタつくのは得策じゃない。相手に付け入る隙を与える。朝にはこちらから連絡する。それでどうだ。」
しばしの間を置いて空閑から返信が来た。
「キング。」
「何だ。」
「キングはルークのこと信用できるって言ってたよな。」
「ああ。」
「どう信用できる。」
「どうって?」
「キングはルークのどう言った点が信用できるって思ってるんだ。」
「おいおい、何言ってんだ。仲間だろう。」
「クイーンですらこうだ。ルークも十分怪しい。」
「何?」
「そもそもナイトをあんな状態にさせた原因を作ったのはルークだ。」
「待てビショップお前何言ってんだ。」
「5年前、東京で妙な事件が多発したの、お前覚えてるか?」
「いや…知らない。」
「殺人事件が起こって間もなく犯人逮捕。でもその犯人はみんな自殺。」
「あぁ…そんなのあったかも。」
「それ全部、クイーンの実験だった。」
「え!?」
「その5年前のやつも、俺がやられたのと同じ実験。俺はたまたま今正気を保ってるが、あの時のやつは全員自殺って結末だった。つまり失敗だ。」
「鍋島能力を手に入れるための実験だったって言うのか?」
「そう。そしてルークはその実験対象にクイーンの親友であるナイトを充てがった。」
「ルークがナイトを?」
「あぁ。」
「いや待て。ナイトはもともと妹の死で精神を病んでいた。それがための頭痛にも悩まされていた。クイーンはそんなあいつを見かねて、強度が非常に強い催眠であいつの緩和医療を施していた。そうだろう。」
「違う。ナイトの精神状態を追い込んだのはルークだ。」
「どういうこと?」
「ルークはナイトの妹の死、その揉み消しに警察が噛んでいる証拠を奴に突きつけた。復讐を遂げる方法をクイーンは持ち合わせていることを仄かしてな。」
「何だって…。」
「唆(そそのか)したんだルークは。ナイトが自ら実験対象に名乗りを上げるように。結果はご存知の通りさ。」
「じゃあなぜナイトは前例のように自死しない。」
「キングも知ってるだろう。緩和ケアと称する催眠。それと副作用を打ち消す薬の処方。この二つで精神のバランスを保ったわけだ。ナイトの警察への憎悪は治らない。だから定期的に奴に緩和医療の一環で警察への復讐を果たした記憶をねじ込むことで心の充足を与える。一方で憎悪の元となった妹の喪失感。これを紛らわせるために朝戸紗希と瓜二つの山県久美子の肖像を見せる。この二つの絶妙なバランスがナイトを今日まで延命させた。」
「ルークが今のナイトを作り出した元凶ってことか。」
「そうだ。」
椎名はしばらく返信するのを止め、空閑の発言の流れを見直した。
自らを鍋島にするようにクイーンに依頼し、それは成功したかのように見えた。しかし今一つ完璧な力を得られたかの確証を得られる状態ではなく、ひょっとすると失敗だったかもしれない。そこにクイーンの連絡途絶。彼が警察に寝返ったと判断。
そして返す刀でルークを糾弾。そもそもナイトをあんな状態にしたのはルークに全て責任があると言っている。
ー何を言っている。
ー朝戸をあんなにしたのはお前だろうが。空閑。
ーなんて自己中心的な人間だ。
ー今の今まで朝戸を利用してきたのはどこのどいつだ。
ー朝戸の精神を落ち着かせるために、光定は催眠を使って警察への復讐を何度も達成したかのような暗示をかけた。
ーしかしどうも効き目が薄い。
ーそこでお前が何を光定に提案した?
ーそうだ。お前は一流の嘘は所々に本当のことを入れるって、朝戸に実際の復讐行動をとるように暗示をかけたほうが達成感が出るんじゃないかって光定を唆したじゃねぇか。
ーで、そのデビュー戦が東倉病院のノビチョクだ。
ーお前が殺人マシーン朝戸を作り出したんだ。そしてそいつを利用して3日後おっぱじめようとしてんじゃねぇか。
ーこのサイコパス野郎が。
「なぁこれでもルーク信用できるのか。」
「そんな事があったなんて知らなかった。」
「そうか。」
「気をつけよう。それはそれで対応を考える。」
「頼む。」
「これも朝まで待ってくれ。こっちも監視の目がきつい。」
「すまない。では。」
そっと携帯電話をしまった椎名は寝返りを打ちながら声を発した。
「Мы готовы. 準備は整った。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
男は暗闇の中目を開いた。
「天宮と曽我、小早川が立て続けに死んだ。」
がばりと起き上がった彼は牢屋越しに見える人影に近寄った。
「全員か?」
「そうだ。」
「いつだ。」
「昨日と今日。」
「たった二日で…。」
「心当たりが?」
「天宮の奥方は。」
「行方不明。」
「まさか…。」
「なんだ。」
「あいつらが動いてる…。」
「あいつら?」
「まずい…。マズすぎる…。」
「何だ何のことを言ってるんだ。」
「軍だ。」
「軍?」
「ツヴァイスタン人民軍…。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【Twitter】
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ご意見・ご感想・ご質問等は公式サイトもしくはTwitterからお気軽にお寄せください。
皆さんのご意見が本当に励みになります。よろしくおねがいします。
すべてのご意見に目を通させていただきます。
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「ま、かけて。」
「あ、自分外します。」
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「あ、はい。」
安井と黒田がソファに座るのを見届けて、加賀は立ち上がった。
そして二人の前まで来て、なんの予告もなく安井の顔面を拳で殴りつけた。
殴打音
「あ…が…。」
「社長!」
「デスクは黙ってろ。」
自分の拳をハンカチで拭いながら、加賀は安井と向かい合いようにソファに腰を掛けた。
「ひとりでなんでもかんでも背負うんじゃねぇよ。バカが。」
「…。」
「安井君。なんで俺に相談してくれなかったんだ。なんで黒田君にも相談してくれなかったんだ。俺ら三人はちゃんフリ立ち上げのメンバーだろ。」
「…。」
「言いたくないのか。」
安井は加賀の問いかけに答える様子はない。ただうつむいて加賀とも黒田とも目を合わせないようにしている。
「言いたくないなら聞かない。ただし黙秘をするということは君の考えは俺の解釈に一任するってことでいいんだな。」
「…。」
「反論の余地はなくなるぞ。」
「…。」
「いいだろう。」
こう言うと加賀は立ち上がった。
「原因究明はひとまず置いておいて、まずは原状回復だ。安井君。マスターデータをどこに保管している。」
安井は持っていた自分のリュックから外付ハードディスクを数個とりだして、机の上に置いた。
「これで全部です。」
「よし。じゃあ早速ここから対象のデータ抽出して、配信停止しているやつ復旧をしてくれ。」
「社長…。」
ようやく安井は加賀の顔を見た。
「なんだ。」
「何も聞かないんですか。」
「何を聞く。」
「どこにこれを隠していたとか。一体どういう管理をしているんだとか。」
「…。」
「そもそも何でこんな事をやったのか。」
加賀は安井の言葉を遮った。
「言ったろう。原因究明なんざしてる暇はないんだ。いまは原状回復が最優先。君の文句を言えば24時間あっても足りない。さっさと取り掛かってくれ。」
「あ…。」
「言わなくてもわかってる。安井君。今回のこと、君なりの思いやりの結果だったんだろう。その正否を問うほどいまは時間はない。幸いウチの会社も被害は今の所軽微だ。そして三波君。彼の容態も安定している。」
今まで張り詰めていたものがプツンと切れた瞬間だった。
安井は嗚咽した。
「安井。徹夜だぞ。」
かつては相撲部としてならした安井の大柄な体も、この状況下では虫のように小さくなっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつものように頭から布団を被って寝ていた椎名。その彼の側に忍ばされた携帯電話が無音の状態で光った。空閑からのメッセージだった。
「遅くにすまん。緊急で知らせたいことが起こった。」
椎名は携帯電話を自分に引き寄せ、布団のなかでそれを操作していることが悟られないように、フリック操作でそれに返す。
「何だ。」
「クイーンと連絡が取れなくなった。」
この表示に椎名は手を止めた。
「この切羽詰まった状況で一方的にこちらからの連絡手段を遮ると言うことは、二つ可能性が考えられる。ひとつはあいつが警察の手に落ちた。もう一つはあいつが裏切った。」
「落ち着け。早まるな。」
「早まってなんかいない。悠長なことは言ってられない。」
「だから落ち着けって!」
空閑からのメッセージが一旦止まった。
「確かにこのタイミングで連絡が取れなくなるのは不自然だ。ビショップ。お前、クイーンと何かあったか。」
「鍋島にしてもらった。」
「えっ?」
「俺を鍋島そのものにする催眠をかけてもらった。」
「なんだ…それ…。」
「話すと長くなる。とにかく俺はあいつの手で鍋島能力を手に入れた。」
「待て。鍋島能力ってまさか。」
「そう。ルークが欲しがっていたやつさ。」
「実用化できたのか。」
「多分。実際俺はクイーンにもちゃんフリの三波って奴にも使って、その効果を得た。」
「具体的には。」
「俺とのやり取りを記憶から消し、クイーンには病院に戻っていつものように振る舞え。三波には家で引きこもれって暗示をかけた。結果その通りの行動を二人はとった。」
「やったな!とうとうやったな!おめでとう!」
「でも…。」
「でも?でも何だ。」
「今、その二人はなぜか石大で合流している。」
「何だって…。」
「そこで音信不通ってわけだ。」
空閑は続けてメッセージを送ってくる。
「どうだキング。クイーンの奴、警察の手に落ちたか裏切った、どっちだと思う。」
椎名はこの返事を打つために1分ほど間をおいた。
「どっちも疑った方がいい。」
「どっちも?」
「ああ。警察の手に落ちて、こちらからの接触を絶っている可能性もあるだろう。」
「なるほど。」
「いずれにせよ手を打った方がいいな。」
「どう手をうつ。」
「少し考えさせてくれ。」
「時間がない。」
「今の状況でバタつくのは得策じゃない。相手に付け入る隙を与える。朝にはこちらから連絡する。それでどうだ。」
しばしの間を置いて空閑から返信が来た。
「キング。」
「何だ。」
「キングはルークのこと信用できるって言ってたよな。」
「ああ。」
「どう信用できる。」
「どうって?」
「キングはルークのどう言った点が信用できるって思ってるんだ。」
「おいおい、何言ってんだ。仲間だろう。」
「クイーンですらこうだ。ルークも十分怪しい。」
「何?」
「そもそもナイトをあんな状態にさせた原因を作ったのはルークだ。」
「待てビショップお前何言ってんだ。」
「5年前、東京で妙な事件が多発したの、お前覚えてるか?」
「いや…知らない。」
「殺人事件が起こって間もなく犯人逮捕。でもその犯人はみんな自殺。」
「あぁ…そんなのあったかも。」
「それ全部、クイーンの実験だった。」
「え!?」
「その5年前のやつも、俺がやられたのと同じ実験。俺はたまたま今正気を保ってるが、あの時のやつは全員自殺って結末だった。つまり失敗だ。」
「鍋島能力を手に入れるための実験だったって言うのか?」
「そう。そしてルークはその実験対象にクイーンの親友であるナイトを充てがった。」
「ルークがナイトを?」
「あぁ。」
「いや待て。ナイトはもともと妹の死で精神を病んでいた。それがための頭痛にも悩まされていた。クイーンはそんなあいつを見かねて、強度が非常に強い催眠であいつの緩和医療を施していた。そうだろう。」
「違う。ナイトの精神状態を追い込んだのはルークだ。」
「どういうこと?」
「ルークはナイトの妹の死、その揉み消しに警察が噛んでいる証拠を奴に突きつけた。復讐を遂げる方法をクイーンは持ち合わせていることを仄かしてな。」
「何だって…。」
「唆(そそのか)したんだルークは。ナイトが自ら実験対象に名乗りを上げるように。結果はご存知の通りさ。」
「じゃあなぜナイトは前例のように自死しない。」
「キングも知ってるだろう。緩和ケアと称する催眠。それと副作用を打ち消す薬の処方。この二つで精神のバランスを保ったわけだ。ナイトの警察への憎悪は治らない。だから定期的に奴に緩和医療の一環で警察への復讐を果たした記憶をねじ込むことで心の充足を与える。一方で憎悪の元となった妹の喪失感。これを紛らわせるために朝戸紗希と瓜二つの山県久美子の肖像を見せる。この二つの絶妙なバランスがナイトを今日まで延命させた。」
「ルークが今のナイトを作り出した元凶ってことか。」
「そうだ。」
椎名はしばらく返信するのを止め、空閑の発言の流れを見直した。
自らを鍋島にするようにクイーンに依頼し、それは成功したかのように見えた。しかし今一つ完璧な力を得られたかの確証を得られる状態ではなく、ひょっとすると失敗だったかもしれない。そこにクイーンの連絡途絶。彼が警察に寝返ったと判断。
そして返す刀でルークを糾弾。そもそもナイトをあんな状態にしたのはルークに全て責任があると言っている。
ー何を言っている。
ー朝戸をあんなにしたのはお前だろうが。空閑。
ーなんて自己中心的な人間だ。
ー今の今まで朝戸を利用してきたのはどこのどいつだ。
ー朝戸の精神を落ち着かせるために、光定は催眠を使って警察への復讐を何度も達成したかのような暗示をかけた。
ーしかしどうも効き目が薄い。
ーそこでお前が何を光定に提案した?
ーそうだ。お前は一流の嘘は所々に本当のことを入れるって、朝戸に実際の復讐行動をとるように暗示をかけたほうが達成感が出るんじゃないかって光定を唆したじゃねぇか。
ーで、そのデビュー戦が東倉病院のノビチョクだ。
ーお前が殺人マシーン朝戸を作り出したんだ。そしてそいつを利用して3日後おっぱじめようとしてんじゃねぇか。
ーこのサイコパス野郎が。
「なぁこれでもルーク信用できるのか。」
「そんな事があったなんて知らなかった。」
「そうか。」
「気をつけよう。それはそれで対応を考える。」
「頼む。」
「これも朝まで待ってくれ。こっちも監視の目がきつい。」
「すまない。では。」
そっと携帯電話をしまった椎名は寝返りを打ちながら声を発した。
「Мы готовы. 準備は整った。」
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男は暗闇の中目を開いた。
「天宮と曽我、小早川が立て続けに死んだ。」
がばりと起き上がった彼は牢屋越しに見える人影に近寄った。
「全員か?」
「そうだ。」
「いつだ。」
「昨日と今日。」
「たった二日で…。」
「心当たりが?」
「天宮の奥方は。」
「行方不明。」
「まさか…。」
「なんだ。」
「あいつらが動いてる…。」
「あいつら?」
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「ツヴァイスタン人民軍…。」
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