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124.1 第113話【前編】

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熨子山山頂の展望台に続く遊歩道。
愛犬を連れ立って歩く男がいる。
木々が生い茂る地形のためか、薄明(はくめい)時のこの場所はまだ暗い。
帽子の上から装着されたLEDライトの光が、暗がりに漂う自分の白い吐息を照らす。
気温は11度。
「ワンッワンッ!!」
めったに鳴くことのない愛犬が突如立ち止まり吠えだした。
「どしたぁペロ。」
犬が吠える先には雑木林。もちろんその先には人気がない。
嫌な予感しかしない。
LEDライトを手にした彼は恐る恐るペロが吠える方を照らす。
彼の予感は的中した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なに?天宮の奥方が遺体で見つかった?」
「はい。先程熨子山で発見されたと報告が入りました。現在所轄と本部の捜一が現場に入っています。」
石川の公安特課、富樫からの報告だった。
「状況は。」
「なんでも土の中に埋まっとったとのこと。」
「埋まっていた?」
「はい。第一発見者は犬です。」
「犬?」
「ほとんど吠えることがない犬が突然吠えだし、何事かとその飼主が犬が吠える方を見た。そしたら土の中から手ぇみたいなもんが出とった。んで通報って感じです。」
「ふうむ…。」
「ただ理事官。ちょっとおかしな点がありまして。」
「なんだ。」
「発見されたのは熨子山の遊歩道からちょっと入った雑木林の中なんです。」
「それがどうした?」
「山に埋めるとなると、普通は人の目に触れない奥深いところでしょう。ほれなんにこいつは違います。遊歩道からそんなに離れとらん場所に埋めた。」
「しかも手が出てたって言ったよな。」
「はい。」
「わざと発見されるように、そこに埋めた。」
「可能性あります。」
「とするとなぜこのタイミングで…。」
「誰かに対するメッセージ的なもんですかね。」
「どういう?」
「わかりません。」
「だよな。」
「理事官。どうしますこの件。」
「天宮の奥方だからな…。事件とは無関係ってわけにはいかないだろ。」
「ですが捜一のシマです。」
「捜一…。」
百目鬼は暫し沈黙した。
「天宮殺しの現場に千種が愛人であるとして侵入。現場の書斎で捜一の警部が対応。お引き取りいただいた…。その後、古田と接触した千種は車に轢かれて死亡…だったよな。」
「はい。そういう奇妙なことがありました。」
「その千種の対応をした警部ってどんなやつだ。」
「佐々木統義(のりよし)。古株デカです。自分もかつて何度か絡んだことあります。いわゆる昔気質な奴です。」
「古田的な感じか。」
「うーんちょっと違うかも。古田さんと違って年齢も比較的若いですからね。言うなら結構ドライな感じですか。」
「ドライ?」
「はい。」
「え?それどういうの。」
「うーん…。なんかこう面倒くさがり的な?」
「面倒くさい?」
「はい。やっかいごとにはあまり関わりたくないって感じを受けました。その代わりといっては何ですが、クレバーな印象を持ちました。」
「なるほど…何となく見えてきた。」
「そうですか。」
「その佐々木、この天宮の奥方の件も勿論、臨場してるんだろうな。」
「でしょうね。」
「にしても千種のときのこいつの対応が気になるんだよなぁ…。」
「関係者以外立ち入り禁止。なのに千種をほいほい現場に入り込ませ、そこで話し込む。あり得ませんからね。」
「やっかいごとを引き受けたくない人間が、だ。」
百目鬼と自分の考えが同じであることを確認し、富樫は言葉を続けた。
「特別な事情がない限り佐々木はこのような行動はとりません。なにせクレバーな男ですから。」
「特別な事情とは…。」
「事件解決の糸口をやつなりに掴んどって、あえてそういうリスクをとったか…。」
「まったく別の事情があって千種と個人的にコンタクトをとる必要があったか、だな。」
「いずれにせよ佐々木個人の性格などを知らんことには、そのあたりも目星がつかん。ということで佐々木の周辺を洗いました。」
「よし。」
「基本的には奴はやはり面倒くさがりです。捜査については可もなく不可もなく。目立った実績を作るわけでもなく、失点もない。失点を無くすことで生きてゆくタイプですね。」
「失点を無くすことに重きを置く人間がリスクをとる、ありえんな。」
「はい。」
「となると何が奴をそうさせている。」
「いろいろ調べたんですが、それっぽいものが出てこんのです。思想的なもの、派閥的なもの、経済的なものはシロです。ですが1個だけ気になる箇所がありました。」
「なんだ。」
「佐々木には腹違いの弟がいます。」
「弟?」
「はい。」
「それが何か。」
「この弟の情報…調べても調べても出てこんのです。」
「マルトクの情報網を持ってもか?」
「はい。」
「存在そのものが消されとると思うくらい、手がかりすらない。」
「名前もか。」
「いえ、名前だけはわかってます。」
「名前は。」
「高橋勇介。」
電話を切る音
「ここでか…。」
百目鬼の視線の先には先ほどまで読み込んでいた、 
「平成27年 仁川征爾 保護経過観察報告書」があった。
「それにしても情報が多すぎる…。」
こう呟く百目鬼の前には一枚の写真が貼り付けられたホワイトボードがあった。
その写真は頭をハゲ散らかした男のものだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間前
「なんでこの汚い頭の男の写真が片倉、お前から俺のところに送られてくるんだ。」
「と言いますと?」
「こいつの写真は俺と岡田で止まってるはずだ。」
「いえ。自分のところには石川のマルトクから送られてきました。」
「ケントクから?岡田が送ってきたのか?」
「いえ。岡田個人が自分に送ってきたんじゃなくって、ケントク代表メールからうちの部下の個人アドレスに。」
「岡田の部下から片倉の部下にか?」
「はい。」
「何だそれは…。」
「普通はないことです。」
「だな。」
「メールを送った人間と受け取った人間の把握はできているんだな。」
「送った人間はケントクのことなのでわかりません。受け取った人間はわかります。」
「その人間監視しろ。」
「すでに監視しています。」
「よし。」
「ま、とにかくこのハゲです。こいつはただのハゲじゃありません。」
「ハゲハゲ言うな。名前で言え。誰が誰だかわからなくなる。」(片倉の発言を遮るように)
「あ、はい。ハゲ男こと矢高(やたか)慎吾ですが、結果的にこいつはかなり怪しい。」
「どう怪しい。」
「アルミヤプラボスディアと何らかの関係があります。」
「アルミヤプラボスディアだと?」
「はい。」
彼の机の上には高橋勇介こと陶晴宗の資料と併せて、山田正良こと矢高慎吾の資料があった。
「矢高は能登署のデカをヤメたことになっていますが、奴は密かにソトイチのメンバーとしてここに警視庁に配属されてました。」
「うん。それは俺も調べた。」
「ソトイチは対ロシア、東ヨーロッパ対応の外事。奴はその中でも旧東側諸国で依然として影響力を持つロシア系民間軍事会社アルミヤプラボスディアの我が国での活動状況を監視するスタッフだったようです。」
「うん。それも知ってる。」
「で、この矢高。あることがきっかけで免職になってるんです。」
「免職?」
百目鬼は資料に目を落とす。
「それはご存知でない?」
「うん。」
「癒着ですよ。」
「癒着?」
「はい。よくある話です。監視する側がいつの間にか取り込まれた的な。」
「具体的には。」
「金銭の授受。」
「賄賂か。」
「はい。」
「あちゃー。」
「監察に現場押さえられて懲戒です。」
再び手元の資料に目を落とす。
ー矢高慎吾。仁川取り調べの後、一身上の都合で依願退職。仁川の聴取に最後まで対応するも、同僚の田中の死ショックを受け退職を申し出た…。
ーこの報告書と片倉の今の話、合致しない…。
「片倉、整理したい。矢高が能登署を辞めたのはいつだ。」
「6年前です。」
「その矢高がソトイチに来たのは?」
「辞めて直ぐに流れで来ています。」
「で、懲戒を食らったのはいつだ。」
「それから1年後です。」
ー矢高が能登署を辞めた時期、ソトイチを辞めた時期、そのどちらもこの資料と合致する。
ーなるほど、矢高がアルミヤプラボスディアの監視役をしていたってのはソトイチなりの自演ってわけか。
ーまぁ仁川の「じ」の字も出せるわけないわな。
ーなにせ俺もいまのポジションになるまで、仁川の「じ」も知らなかったんだ。
「理事官?」
「あ…。」
「いいですか続けて。」
「あ、うん。」
「以後、矢高は行方をくらました。しかしある時、不意に奴の目撃情報がソトイチにもたらされることになります。」
「ソトイチに?何だ。」
「アルミヤプラボスディアの精鋭部隊にトゥマンっていう部隊があるのは理事官ご存知ですか。」
「いや。不案内だ。すまない。」
「この矢高、そのトゥマンのリーダー格であるマクシーミリアン・ベネシュという男と東京第一大学で目撃されとるんです。」
「アルミヤプラボスディアの人間と矢高が東一で?」
「はい。」
「なんで。」
「よろしくないことが理由でしょう。」
「というと?」」
「何らかの技術研究が目当かと。」
「それは?」
「それは特定できていません。」
「そうか…。」
「大方、矢高が東一にベネシュを斡旋でもしたんじゃないですか。」
「民間軍事会社の人間が東一…。あすこそんな軍事系の研究なんかしてたっけ。」
「いいえ。あすこは学問と軍事のつながりを嫌う風潮が最も強い場所だってのは、卒業生の理事官が肌身を持ってご存じのはず。ですがほら、目下のあれがあるじゃないですか。」
「あれ?」
「はい。」
うろうろと室内を歩き回っていた百目鬼は足を止めた。
「…なるほど。あれか…。」
「はい。アルミヤプラボスディアの上得意先にはツヴァイスタンという国家があります。」
「瞬間催眠…。」
「その軍事転用。」
「天宮周辺が臭いか。」
「はい。」
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愛犬を連れ立って歩く男がいる。
木々が生い茂る地形のためか、薄明(はくめい)時のこの場所はまだ暗い。
帽子の上から装着されたLEDライトの光が、暗がりに漂う自分の白い吐息を照らす。
気温は11度。
「ワンッワンッ!!」
めったに鳴くことのない愛犬が突如立ち止まり吠えだした。
「どしたぁペロ。」
犬が吠える先には雑木林。もちろんその先には人気がない。
嫌な予感しかしない。
LEDライトを手にした彼は恐る恐るペロが吠える方を照らす。
彼の予感は的中した。
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「なに?天宮の奥方が遺体で見つかった?」
「はい。先程熨子山で発見されたと報告が入りました。現在所轄と本部の捜一が現場に入っています。」
石川の公安特課、富樫からの報告だった。
「状況は。」
「なんでも土の中に埋まっとったとのこと。」
「埋まっていた?」
「はい。第一発見者は犬です。」
「犬?」
「ほとんど吠えることがない犬が突然吠えだし、何事かとその飼主が犬が吠える方を見た。そしたら土の中から手ぇみたいなもんが出とった。んで通報って感じです。」
「ふうむ…。」
「ただ理事官。ちょっとおかしな点がありまして。」
「なんだ。」
「発見されたのは熨子山の遊歩道からちょっと入った雑木林の中なんです。」
「それがどうした?」
「山に埋めるとなると、普通は人の目に触れない奥深いところでしょう。ほれなんにこいつは違います。遊歩道からそんなに離れとらん場所に埋めた。」
「しかも手が出てたって言ったよな。」
「はい。」
「わざと発見されるように、そこに埋めた。」
「可能性あります。」
「とするとなぜこのタイミングで…。」
「誰かに対するメッセージ的なもんですかね。」
「どういう?」
「わかりません。」
「だよな。」
「理事官。どうしますこの件。」
「天宮の奥方だからな…。事件とは無関係ってわけにはいかないだろ。」
「ですが捜一のシマです。」
「捜一…。」
百目鬼は暫し沈黙した。
「天宮殺しの現場に千種が愛人であるとして侵入。現場の書斎で捜一の警部が対応。お引き取りいただいた…。その後、古田と接触した千種は車に轢かれて死亡…だったよな。」
「はい。そういう奇妙なことがありました。」
「その千種の対応をした警部ってどんなやつだ。」
「佐々木統義(のりよし)。古株デカです。自分もかつて何度か絡んだことあります。いわゆる昔気質な奴です。」
「古田的な感じか。」
「うーんちょっと違うかも。古田さんと違って年齢も比較的若いですからね。言うなら結構ドライな感じですか。」
「ドライ?」
「はい。」
「え?それどういうの。」
「うーん…。なんかこう面倒くさがり的な?」
「面倒くさい?」
「はい。やっかいごとにはあまり関わりたくないって感じを受けました。その代わりといっては何ですが、クレバーな印象を持ちました。」
「なるほど…何となく見えてきた。」
「そうですか。」
「その佐々木、この天宮の奥方の件も勿論、臨場してるんだろうな。」
「でしょうね。」
「にしても千種のときのこいつの対応が気になるんだよなぁ…。」
「関係者以外立ち入り禁止。なのに千種をほいほい現場に入り込ませ、そこで話し込む。あり得ませんからね。」
「やっかいごとを引き受けたくない人間が、だ。」
百目鬼と自分の考えが同じであることを確認し、富樫は言葉を続けた。
「特別な事情がない限り佐々木はこのような行動はとりません。なにせクレバーな男ですから。」
「特別な事情とは…。」
「事件解決の糸口をやつなりに掴んどって、あえてそういうリスクをとったか…。」
「まったく別の事情があって千種と個人的にコンタクトをとる必要があったか、だな。」
「いずれにせよ佐々木個人の性格などを知らんことには、そのあたりも目星がつかん。ということで佐々木の周辺を洗いました。」
「よし。」
「基本的には奴はやはり面倒くさがりです。捜査については可もなく不可もなく。目立った実績を作るわけでもなく、失点もない。失点を無くすことで生きてゆくタイプですね。」
「失点を無くすことに重きを置く人間がリスクをとる、ありえんな。」
「はい。」
「となると何が奴をそうさせている。」
「いろいろ調べたんですが、それっぽいものが出てこんのです。思想的なもの、派閥的なもの、経済的なものはシロです。ですが1個だけ気になる箇所がありました。」
「なんだ。」
「佐々木には腹違いの弟がいます。」
「弟?」
「はい。」
「それが何か。」
「この弟の情報…調べても調べても出てこんのです。」
「マルトクの情報網を持ってもか?」
「はい。」
「存在そのものが消されとると思うくらい、手がかりすらない。」
「名前もか。」
「いえ、名前だけはわかってます。」
「名前は。」
「高橋勇介。」
電話を切る音
「ここでか…。」
百目鬼の視線の先には先ほどまで読み込んでいた、 
「平成27年 仁川征爾 保護経過観察報告書」があった。
「それにしても情報が多すぎる…。」
こう呟く百目鬼の前には一枚の写真が貼り付けられたホワイトボードがあった。
その写真は頭をハゲ散らかした男のものだった。
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「なんでこの汚い頭の男の写真が片倉、お前から俺のところに送られてくるんだ。」
「と言いますと?」
「こいつの写真は俺と岡田で止まってるはずだ。」
「いえ。自分のところには石川のマルトクから送られてきました。」
「ケントクから?岡田が送ってきたのか?」
「いえ。岡田個人が自分に送ってきたんじゃなくって、ケントク代表メールからうちの部下の個人アドレスに。」
「岡田の部下から片倉の部下にか?」
「はい。」
「何だそれは…。」
「普通はないことです。」
「だな。」
「メールを送った人間と受け取った人間の把握はできているんだな。」
「送った人間はケントクのことなのでわかりません。受け取った人間はわかります。」
「その人間監視しろ。」
「すでに監視しています。」
「よし。」
「ま、とにかくこのハゲです。こいつはただのハゲじゃありません。」
「ハゲハゲ言うな。名前で言え。誰が誰だかわからなくなる。」(片倉の発言を遮るように)
「あ、はい。ハゲ男こと矢高(やたか)慎吾ですが、結果的にこいつはかなり怪しい。」
「どう怪しい。」
「アルミヤプラボスディアと何らかの関係があります。」
「アルミヤプラボスディアだと?」
「はい。」
彼の机の上には高橋勇介こと陶晴宗の資料と併せて、山田正良こと矢高慎吾の資料があった。
「矢高は能登署のデカをヤメたことになっていますが、奴は密かにソトイチのメンバーとしてここに警視庁に配属されてました。」
「うん。それは俺も調べた。」
「ソトイチは対ロシア、東ヨーロッパ対応の外事。奴はその中でも旧東側諸国で依然として影響力を持つロシア系民間軍事会社アルミヤプラボスディアの我が国での活動状況を監視するスタッフだったようです。」
「うん。それも知ってる。」
「で、この矢高。あることがきっかけで免職になってるんです。」
「免職?」
百目鬼は資料に目を落とす。
「それはご存知でない?」
「うん。」
「癒着ですよ。」
「癒着?」
「はい。よくある話です。監視する側がいつの間にか取り込まれた的な。」
「具体的には。」
「金銭の授受。」
「賄賂か。」
「はい。」
「あちゃー。」
「監察に現場押さえられて懲戒です。」
再び手元の資料に目を落とす。
ー矢高慎吾。仁川取り調べの後、一身上の都合で依願退職。仁川の聴取に最後まで対応するも、同僚の田中の死ショックを受け退職を申し出た…。
ーこの報告書と片倉の今の話、合致しない…。
「片倉、整理したい。矢高が能登署を辞めたのはいつだ。」
「6年前です。」
「その矢高がソトイチに来たのは?」
「辞めて直ぐに流れで来ています。」
「で、懲戒を食らったのはいつだ。」
「それから1年後です。」
ー矢高が能登署を辞めた時期、ソトイチを辞めた時期、そのどちらもこの資料と合致する。
ーなるほど、矢高がアルミヤプラボスディアの監視役をしていたってのはソトイチなりの自演ってわけか。
ーまぁ仁川の「じ」の字も出せるわけないわな。
ーなにせ俺もいまのポジションになるまで、仁川の「じ」も知らなかったんだ。
「理事官?」
「あ…。」
「いいですか続けて。」
「あ、うん。」
「以後、矢高は行方をくらました。しかしある時、不意に奴の目撃情報がソトイチにもたらされることになります。」
「ソトイチに?何だ。」
「アルミヤプラボスディアの精鋭部隊にトゥマンっていう部隊があるのは理事官ご存知ですか。」
「いや。不案内だ。すまない。」
「この矢高、そのトゥマンのリーダー格であるマクシーミリアン・ベネシュという男と東京第一大学で目撃されとるんです。」
「アルミヤプラボスディアの人間と矢高が東一で?」
「はい。」
「なんで。」
「よろしくないことが理由でしょう。」
「というと?」」
「何らかの技術研究が目当かと。」
「それは?」
「それは特定できていません。」
「そうか…。」
「大方、矢高が東一にベネシュを斡旋でもしたんじゃないですか。」
「民間軍事会社の人間が東一…。あすこそんな軍事系の研究なんかしてたっけ。」
「いいえ。あすこは学問と軍事のつながりを嫌う風潮が最も強い場所だってのは、卒業生の理事官が肌身を持ってご存じのはず。ですがほら、目下のあれがあるじゃないですか。」
「あれ?」
「はい。」
うろうろと室内を歩き回っていた百目鬼は足を止めた。
「…なるほど。あれか…。」
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