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144.2 第133話【後編】

12:16
 
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「申し訳ございません…。」
岡田を前に富樫は目を合わせることができないでいた。
「んなこともある。」
岡田は彼の肩を叩いた。
「相馬さん管理の下、光定を泳がし関係者の尻尾を出させる策、完全に裏目に出ました。」
「…。」
「本当に申し訳ございません。」
「もういいってマサさん。」
県警本部内にある公安特課の指揮所。
今のここには富樫と岡田の二人しか居なかった。
「当の相馬は。」
「気になることがあるとかで、石大病院から離脱しました。」
「そうか。」
「しかし…なんで…。」
「んなもん決まっとるでしょう。やっぱり居るんですよモグラ。」
「マルトクにモグラ。」
「公安特課厳重監視の下、光定の部屋に忍びこんで消音化された銃で、腹と頭に二発撃ち込んで退散。その行動は目撃者は居らず、院内のカメラにもその様子は映り込んでない。外部の犯行なんてありえんだろう。」
「はい。」
「問題はどいつがモグラかってことや。」
富樫は黙った。
岡田は当初から警察内部のモグラの存在に気を遣っていた。
富樫による椎名監視の様子はケントクないでしか共有されないようになっている。すべての情報は岡田で止まり、必要があれば彼から直接特高に渡す仕組みだ。しかしそれがなぜか、岡田をすっ飛ばして特高に筒抜けになっていた。
「北署マルトクよりケントク。」
指揮所に所轄からの無線が入ったため、それに富樫が応える。
「こちらケントク。」
「郊外のショッピングモール駐車場で、PMの遺体発見との報。」
「なに?」
「PMの名前は佐々木統義。本部捜査一課警部。」
「佐々木!?」
「はい。ショッピングモールに駐車中に車の外からこめかみに一発。即死と思われる。」
「なん…やと…。」
「天宮殺しの現場に千種が愛人であるとして侵入。現場の書斎で捜一の警部が対応。お引き取りいただいた…。その後、古田と接触した千種は車に轢かれて死亡…だったよな。」
「はい。そういう奇妙なことがありました。」
「その千種の対応をした警部ってどんなやつだ。」
「佐々木統義(のりよし)。古株デカです。自分もかつて何度か絡んだことあります。いわゆる昔気質な奴です。」113
「その佐々木、この天宮の奥方の件も勿論、臨場してるんだろうな。」
「でしょうね。」
「にしても千種のときのこいつの対応が気になるんだよなぁ…。」
「関係者以外立ち入り禁止。なのに千種をほいほい現場に入り込ませ、そこで話し込む。あり得ませんからね。」
「やっかいごとを引き受けたくない人間が、だ。」113
「佐々木統義…。」
「岡田課長はご存じで。」
「…まぁ…。」
「…どんな印象でしたか。」
「印象?」
「はい。佐々木警部にどんな印象をお持ちでしたか。」
岡田はため息をつき何も無い壁を見つめる。
「厄介なヤマにはなぜか居らん不思議な存在。」
「ほう。」
「何かの力が働いとるんかと思うぐらい、あいつにはややっこしいヤマは回ってこん。」
「結果、目立った成績を上げることも無い。」
「うん。」
「その分失点もないので、いまのポジションをキープしとる。」
「俺の正反対。正直うらやましいとさえ思っとったよ。」
「いままでややっこしいヤマが回ってこなかった佐々木が、なぜか今回の天宮殺害に臨場した。」
「そうなのか?」
「はい。そこでいつものように無難に処理しとりゃ、こっちにも奴の情報は入ってこんかった。」
「というと?」
「そいつがあろうことか千種の対応をした。」
「佐々木がか?」
富樫はうなずく。
「厄介ごとはとにかくスルーする性分の奴がか?」
「関係者以外立ち入り禁止の現場。そこに取り乱した千種が現れ、まんまと現場に入り込まれた。部屋の中で説得を試み、なんとかお引き取りいただいたようだったと、捜一の捜査員からの私にタレコミがありました。」
「臭いな。」
「はい。」
「天宮殺しの現場に侵入した千種は死に、奴の相手をしとった佐々木も死んだ…。」
「はい。」
岡田は頭を抱えた。
「手に負えん。」
「課長…。」
「もう俺らの手に負えんぞ…。」
「課長どうしたんですか。ここで…。」
「正直もう訳がわからん。俺らを取り巻く情報が多すぎる。佐々木死亡、光定死亡、天宮死亡、曽我死亡、全国各地で起こるテロまがいの事件、犀川のテロデマ事件、妙な動画、鍋島能力、古田さんの認知、椎名と特高のつながり、モグラ、不審船、んで5月1日の金曜にはテロの予定。その日を目前に妙なロシア系の人間が大挙して金沢駅周辺に住み着く。俺らに残された時間は…。」
岡田は時計を見る。いまは4月29日水曜、18時を回ったところだ。
「明日の午前中には何らかの判断を百目鬼理事官に仰がんといかんし…。」
「あと18時間でしょうか。」
「あー情報が渋滞しとる…。」
「課長、こんな時こそひとつひとつです。」
「ん?」
「自分、情報の交差点に居ります。始終いまの課長の状態です。」
「あ…。」
「光定でやらかしたワシがこう言うのも何なんですが、起こってしまったことは悔いても仕方が無い。ワシらはあくまでも犯罪を未然に防ぐのが指名。いまのところわれわれの最優先事項は5月1日の金曜のテロ事件です。」
「そうや。」
「当面はそれに集中しましょう。佐々木の件はきっと別の誰かが対応してくれます。」
「…。」
「課長?」
「あ…あぁそうやな…。」
釈然としない態度の岡田を見て富樫は改まった。
「はっきり言います課長。もう無理です。もうケントクはキャパ超えています。」
「…。」
「事実、課長の処理能力が追いついとりません。」
岡田は何も言えない。
「DDOS攻撃みたいなもんです。ここまで来たらもう我々を意図的に混乱に陥れとるとしか思えません。一連の事件とそれに伴う情報の渋滞は。」
「確かに。」
「敵のことががよくわからんがに、どうやって戦えっいうんです?」
「無理だな。」
「だから戦えそうなところだけ戦うんです。光定は5月1日にテロを起こす予定であると我々に知らせてくれました。とりあえずその予定者であると思われるビショップとナイト。こいつらを厳重監視しましょう。」
「そうだな。」
「で同時に他のキング、ルーク、ポーンの手がかりを探すのです。」
「併せてロシア系の大量人員に対する対応やな。」
「はい。それに集中しましょう。」
「外国人部隊は三好さんが動いてくれとる。」
「三好ですか…。大丈夫ですか、あいつひとりで。」
「心配ない。心強い人間がこちらに接触してきた。」
「心強い人間?」
「ああ。」
「誰ですか?」
「それは言えない。」
「中央署からケントク。」
「こちらケントク。」
「朝戸に動きあり。」
岡田は富樫にうなずく。
「どういった動きか。」
「古田顧問捜査官と接触。ふたりは同じ宿に滞在している模様。」
「え…。」
二人は絶句した。
「こちらケントク。いつからだ。」
「今日の昼頃からです。」
「待て、朝戸は昨日の光定の言から居場所を特定しとる。べったり誰かが張りついとるんじゃないんか?」
「張り付いています。張り付いていますが昼まで報告が入りませんでした。」
「なんじゃそりゃ。」
「申し訳ございません。」
「二人の現在の状況はどうか。」
「朝戸は宿に。古田捜査官はひとり宿の近くを歩いている様子。」
「人員を増やせ。朝戸だけでなく古田捜査官も監視しろ。」
「了解。」
無線を切った富樫は思わず手で顔を覆った。
「なんでここで古田さんが…。」
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「んなこともある。」
岡田は彼の肩を叩いた。
「相馬さん管理の下、光定を泳がし関係者の尻尾を出させる策、完全に裏目に出ました。」
「…。」
「本当に申し訳ございません。」
「もういいってマサさん。」
県警本部内にある公安特課の指揮所。
今のここには富樫と岡田の二人しか居なかった。
「当の相馬は。」
「気になることがあるとかで、石大病院から離脱しました。」
「そうか。」
「しかし…なんで…。」
「んなもん決まっとるでしょう。やっぱり居るんですよモグラ。」
「マルトクにモグラ。」
「公安特課厳重監視の下、光定の部屋に忍びこんで消音化された銃で、腹と頭に二発撃ち込んで退散。その行動は目撃者は居らず、院内のカメラにもその様子は映り込んでない。外部の犯行なんてありえんだろう。」
「はい。」
「問題はどいつがモグラかってことや。」
富樫は黙った。
岡田は当初から警察内部のモグラの存在に気を遣っていた。
富樫による椎名監視の様子はケントクないでしか共有されないようになっている。すべての情報は岡田で止まり、必要があれば彼から直接特高に渡す仕組みだ。しかしそれがなぜか、岡田をすっ飛ばして特高に筒抜けになっていた。
「北署マルトクよりケントク。」
指揮所に所轄からの無線が入ったため、それに富樫が応える。
「こちらケントク。」
「郊外のショッピングモール駐車場で、PMの遺体発見との報。」
「なに?」
「PMの名前は佐々木統義。本部捜査一課警部。」
「佐々木!?」
「はい。ショッピングモールに駐車中に車の外からこめかみに一発。即死と思われる。」
「なん…やと…。」
「天宮殺しの現場に千種が愛人であるとして侵入。現場の書斎で捜一の警部が対応。お引き取りいただいた…。その後、古田と接触した千種は車に轢かれて死亡…だったよな。」
「はい。そういう奇妙なことがありました。」
「その千種の対応をした警部ってどんなやつだ。」
「佐々木統義(のりよし)。古株デカです。自分もかつて何度か絡んだことあります。いわゆる昔気質な奴です。」113
「その佐々木、この天宮の奥方の件も勿論、臨場してるんだろうな。」
「でしょうね。」
「にしても千種のときのこいつの対応が気になるんだよなぁ…。」
「関係者以外立ち入り禁止。なのに千種をほいほい現場に入り込ませ、そこで話し込む。あり得ませんからね。」
「やっかいごとを引き受けたくない人間が、だ。」113
「佐々木統義…。」
「岡田課長はご存じで。」
「…まぁ…。」
「…どんな印象でしたか。」
「印象?」
「はい。佐々木警部にどんな印象をお持ちでしたか。」
岡田はため息をつき何も無い壁を見つめる。
「厄介なヤマにはなぜか居らん不思議な存在。」
「ほう。」
「何かの力が働いとるんかと思うぐらい、あいつにはややっこしいヤマは回ってこん。」
「結果、目立った成績を上げることも無い。」
「うん。」
「その分失点もないので、いまのポジションをキープしとる。」
「俺の正反対。正直うらやましいとさえ思っとったよ。」
「いままでややっこしいヤマが回ってこなかった佐々木が、なぜか今回の天宮殺害に臨場した。」
「そうなのか?」
「はい。そこでいつものように無難に処理しとりゃ、こっちにも奴の情報は入ってこんかった。」
「というと?」
「そいつがあろうことか千種の対応をした。」
「佐々木がか?」
富樫はうなずく。
「厄介ごとはとにかくスルーする性分の奴がか?」
「関係者以外立ち入り禁止の現場。そこに取り乱した千種が現れ、まんまと現場に入り込まれた。部屋の中で説得を試み、なんとかお引き取りいただいたようだったと、捜一の捜査員からの私にタレコミがありました。」
「臭いな。」
「はい。」
「天宮殺しの現場に侵入した千種は死に、奴の相手をしとった佐々木も死んだ…。」
「はい。」
岡田は頭を抱えた。
「手に負えん。」
「課長…。」
「もう俺らの手に負えんぞ…。」
「課長どうしたんですか。ここで…。」
「正直もう訳がわからん。俺らを取り巻く情報が多すぎる。佐々木死亡、光定死亡、天宮死亡、曽我死亡、全国各地で起こるテロまがいの事件、犀川のテロデマ事件、妙な動画、鍋島能力、古田さんの認知、椎名と特高のつながり、モグラ、不審船、んで5月1日の金曜にはテロの予定。その日を目前に妙なロシア系の人間が大挙して金沢駅周辺に住み着く。俺らに残された時間は…。」
岡田は時計を見る。いまは4月29日水曜、18時を回ったところだ。
「明日の午前中には何らかの判断を百目鬼理事官に仰がんといかんし…。」
「あと18時間でしょうか。」
「あー情報が渋滞しとる…。」
「課長、こんな時こそひとつひとつです。」
「ん?」
「自分、情報の交差点に居ります。始終いまの課長の状態です。」
「あ…。」
「光定でやらかしたワシがこう言うのも何なんですが、起こってしまったことは悔いても仕方が無い。ワシらはあくまでも犯罪を未然に防ぐのが指名。いまのところわれわれの最優先事項は5月1日の金曜のテロ事件です。」
「そうや。」
「当面はそれに集中しましょう。佐々木の件はきっと別の誰かが対応してくれます。」
「…。」
「課長?」
「あ…あぁそうやな…。」
釈然としない態度の岡田を見て富樫は改まった。
「はっきり言います課長。もう無理です。もうケントクはキャパ超えています。」
「…。」
「事実、課長の処理能力が追いついとりません。」
岡田は何も言えない。
「DDOS攻撃みたいなもんです。ここまで来たらもう我々を意図的に混乱に陥れとるとしか思えません。一連の事件とそれに伴う情報の渋滞は。」
「確かに。」
「敵のことががよくわからんがに、どうやって戦えっいうんです?」
「無理だな。」
「だから戦えそうなところだけ戦うんです。光定は5月1日にテロを起こす予定であると我々に知らせてくれました。とりあえずその予定者であると思われるビショップとナイト。こいつらを厳重監視しましょう。」
「そうだな。」
「で同時に他のキング、ルーク、ポーンの手がかりを探すのです。」
「併せてロシア系の大量人員に対する対応やな。」
「はい。それに集中しましょう。」
「外国人部隊は三好さんが動いてくれとる。」
「三好ですか…。大丈夫ですか、あいつひとりで。」
「心配ない。心強い人間がこちらに接触してきた。」
「心強い人間?」
「ああ。」
「誰ですか?」
「それは言えない。」
「中央署からケントク。」
「こちらケントク。」
「朝戸に動きあり。」
岡田は富樫にうなずく。
「どういった動きか。」
「古田顧問捜査官と接触。ふたりは同じ宿に滞在している模様。」
「え…。」
二人は絶句した。
「こちらケントク。いつからだ。」
「今日の昼頃からです。」
「待て、朝戸は昨日の光定の言から居場所を特定しとる。べったり誰かが張りついとるんじゃないんか?」
「張り付いています。張り付いていますが昼まで報告が入りませんでした。」
「なんじゃそりゃ。」
「申し訳ございません。」
「二人の現在の状況はどうか。」
「朝戸は宿に。古田捜査官はひとり宿の近くを歩いている様子。」
「人員を増やせ。朝戸だけでなく古田捜査官も監視しろ。」
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無線を切った富樫は思わず手で顔を覆った。
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