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149 第138話

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いつものように頭から布団を被った椎名は、その中でスマホの画面に指を滑らせていた。
「ん?」
陶からのメッセージが画面に表示された。
ー紀伊倒れる…。
椎名は即座にそれに返信をする。
「何を使った?」
「ノビチョクを使った。」
「大丈夫か?バレないか?」
「心配ない。いま手の者に処分させているところだ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
町の雑踏
ハイヒールの足音
「お姉さん。」
自分を呼ぶような声が聞こえたため、彼女はそちらに振り向いた。
突如として物陰から男が現れたと思った瞬間、羽交い締めにされた彼女はそこに引き込まれる。
大声を出そうとするも、もう一人の男が自分の口を手で覆ってきた。
刹那、首筋が何か鋭利なもので切り裂かれるような感覚を覚えた。と同時に今まで感じたことがない部位で風を感じた。
気づくと自分の視界に噴水のように湧き上がるような液体が見えた。
この間ものの数秒の話。
彼女の意識は遠のき、そのままそれが戻ることはなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「確認を怠るな。」
「もちろんだ。」
またも画面に通知が表示される。
今度は冴木からだ。
矢高の連絡先を伝えるメッセージだった。
ーどれどれ…山田正良のこと矢高慎吾。こちらの方はご機嫌はいかがかな…。
椎名は指を滑らせる。
「お久しぶり。」
しばらくして返信があった。
「お久しぶりです。流石の活躍ぶりですね少佐。」
「いま高橋君と話してた。」
「高橋勇介ですか?」
「うん。」
「懐かしいですね。」
「うん。」
「さては奴の分身が殺された件でしょうか。」
「山田君。君の仕業だろう。」
「はい。」
「どうして佐々木を消した?」
「あなた様に直接コンタクトを取り出したからです。」
「…。」
「チェス組の連中や、陶自身が少佐とコンタクトをとるのは自然です。」
「同志だもんな。」
「はい。しかし佐々木はただのお目付役。チェス組が無事5.1テロを成功させれるよう、その支援をするだけの影の存在。決して表に出てはならない。」
「うん。」
「そんな影が出しゃばって少佐と直接接点を持った。」
「出過ぎたわけだ。」
「佐々木の動き。何かを感じ取った故の行動ではないでしょうか。」
「だと思う。わざわざ高橋勇介の名前で電話をかけてきたんだから。」
「無駄に勘のいい人間は邪魔以外なんでもありません。そこで奴にはご退場いただいたわけです。」
「手際がいい。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
メッセージのやりとりをする画面の上部に陶からのものが表示された。
「今確認が取れた。」
椎名はそれに了解と返して、矢高とのやりとりに戻った。
「ルークは陶によって消された。」
「え?ルークとは陶の特高における有力なエスでは?」
「内ゲバだよ。」
「あぁ…オフラーナお得意の。」
「チェス組のクイーンとルーク。この主力を壊れた人形のようにぽいぽい捨てる。思い切りがいいというか。短絡的というか。」
「私にとってオフラーナの粛正は、恐怖以外のなにものでもありません。」
「俺は慣れてる。」
「自分は生理的に無理です。」
「あそこの掃除は徹底してる。ルークに毒を盛った人間の始末も完了済みだそうだ。」
「あぁ…。」
「どうした?」
「無慈悲すぎます。そこがオフラーナの無理なところです。」
「あぁそういうことか。」
「はい。ただの駒としてしか見ていない情報機関特有のあの雰囲気がどうも性に合わないんです。」
「だから君は軍を選んだといういう訳か。」
「いいえ。」
「?」
「少佐。あなたがいらっしゃったからですよ。」
この矢高からのメッセージを椎名はしばし見つめた。
「5月9日の戦勝記念日には凱旋と行きたいものだ。」
「ベルゼグラードですね。」
「ああ。」
「私もお供してよろしいでしょうか。」
「もちろんだ。」
「Слава Отечеству.祖国に栄光あれ。」
「Слава Отечеству.祖国に栄光あれ。」
椎名は電話の画面を暗くして、それをそっと置いた。
そして誰にも聞こえないようにひっそりと呟く。
「全部殺す。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「こんな夜遅くに何の用事ですか。陶専門官。」
「またもノビチョクが使用された由。」
「え?また?」
議員会館の自分の部屋にあるソファで横になっていた仲野康哉は眠り眼をこすって飛び起きた。
「今度は現役警察官に被害が。」
「え?この間は警察OB、今度は現役?」
「はい。」
「なんで警察ばかりが。」
「わかりません。ですが我々治安組織に対する重大な挑戦と捉えて良いでしょう。」
「ふうむ…。」
「仲野先生はロシアと深いパイプがあります。どうでしょう。今こそ先生のその人脈を利用して、独自にロシアからの協力を取り付けるよう動くというのは。」
「私がロシアに協力を仰ぐ?」
「はい。」
「何の協力を仰ぐんですか。」
「私が言うのもどうかと思いますが、日本の治安機関はダメです。こうも立て続けに化学兵器によるテロ事件を許してしまうほどですから。」
「内調がそれ言いますか。」
「はい。わたしはちゃんとした治安機関をこの国に作りたいのです。」
「ちゃんとした治安機関とは。」
「先生が精通するロシアという国をお手本にすれば、なんとなくイメージできるでしょうか。」
「…。」
「ロシアの情報機関と連携をする用意は私にはあります。」
「待て。」
「はい。」
「陶専門官。君はアルミヤプラボスディアによる我が国への何らかの作戦行動が近いのではないかと、私に言いましたね。」
「はい。」
「アルミヤプラボスディアはツヴァイスタン人民軍に深いつながりを持つ民間軍事会社。ツヴァイスタン人民軍はロシア軍とも緊密に連携をしています。ロシアと連携をすると言うことは、アルミヤプラボスディアと手を結ぶと言うことにもなりませんか。」
「いいえ。」
「ではどう捉えれば?」
「ロシアに止めてもらうのです。」
「アルミヤプラボスディアをロシアに止めてもらう?」
「はい。ツヴァイスタンの旧宗主国ロシアに手綱を締めてもらう。そのための調整を私がロシア情報部と行います。」
「君がひとりで?」
「はい。」
この時仲野の携帯が震え、何らかの情報を彼に伝えたようだった。
彼はおおきく息をついた。
「どうされました?先生。」
「あ、いや…。あの、陶専門官。君はロシアという国のことをよく知らないようです。」
「と言いますと?」
「そんなことをしてみなさい。奴らはそれに乗じて我が国を乗っ取ります。」
「…。」
「なぜソ連が崩壊し、いまのツヴァイスタンがあるか。それを考えたことがありますか。」
「いえ。」
「そんなにロシアラブならツヴァイスタンなんて国をやめてとっとと元の姿に戻れば良い。でもそうなる様子は一つも見えない。なぜ?」
「なぜでしょう。」
「ツヴァイスタン自身がロシアに愛想を尽かしているんです。表向き一枚岩を装ってる旧東側ですが、その裏で実は微妙なんですよ。」
「…。」
「このタイミングで旧宗主国がツヴァイスタンの連中に再び俺らの指導下に入れと偉そうに迫る。それはツヴァイスタンからの反感を買うだけの行動になることでしょう。」
「先生。」
「はい。」
「先生が今おっしゃった考えは平時においては正しいのかもしれません。しかしいまは平時ではありません。有事です。」
「有事…。」
「そうです。有事では力こそが正義です。利害調整は力によって成されます。いま必要なのはツヴァイスタンを制御し、いざとなれば物理的にアルミヤプラボスディアを止めることが出来る力です。」
「だからなぜそこにロシアが介在する必要があると言うんです。我が国には自衛隊という実力組織もある。」
「自衛隊にできますかね?」
「え?」
「戦後一度も実戦を経験したことがない自衛隊が、百戦錬磨の奴らを止めることが出来ますか?」
「それができるようにここ6年間、死に物狂いで防衛整備をしてきたんだろう。」
「はぁ…。」
「なんだ陶専門官。」
「だからそれだと与党政友党に手柄持って行かれるでしょうが。」
仲野は言葉を詰まらせた。
「万年野党をいつまで演じるつもりなんですか?」
「…。」
「すぐそこに政権与党になるチャンスが転がってるんですよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都内某病院
救命救急センターの待合室にひとり座る百目鬼がいた。
奥の自動ドアが開き、医師が姿を現した。
百目鬼は立ち上がった。
「容態は安定しています。」
医師のこの言葉を聞き百目鬼は安堵の表情を見せた。
「片倉さんからは有機リン系の神経剤らしきものの検出はされていません。」
「では?」
「極度の疲労が原因かと。」
「…。」
「片倉さんのほうは休めば回復します。」
「紀伊の方は?」
医師は首を振る。
「意識はありません。呼吸も弱くなってきています。時間の問題かと。」
百目鬼はベンチに座り、そのままそれに垂れかけた。
「どうする…。頭とその補佐役が同時に欠けたら特高は機能不全だ…。」
そのとき百目鬼の携帯が鳴った。
「はい百目鬼です。」
彼は覚醒したかのように突如すっくと身を起こした。
「松永課長が復帰…。」
「なるほど今回のノビチョク使用で疑いが晴れたと…。」
「はい。…わかりました。すぐにお迎えに上がります。」
電話を切った彼は思わず呟いた。
「天は俺らを見捨ててはいなかったぞ…。片倉。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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「ん?」
陶からのメッセージが画面に表示された。
ー紀伊倒れる…。
椎名は即座にそれに返信をする。
「何を使った?」
「ノビチョクを使った。」
「大丈夫か?バレないか?」
「心配ない。いま手の者に処分させているところだ。」
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町の雑踏
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「お姉さん。」
自分を呼ぶような声が聞こえたため、彼女はそちらに振り向いた。
突如として物陰から男が現れたと思った瞬間、羽交い締めにされた彼女はそこに引き込まれる。
大声を出そうとするも、もう一人の男が自分の口を手で覆ってきた。
刹那、首筋が何か鋭利なもので切り裂かれるような感覚を覚えた。と同時に今まで感じたことがない部位で風を感じた。
気づくと自分の視界に噴水のように湧き上がるような液体が見えた。
この間ものの数秒の話。
彼女の意識は遠のき、そのままそれが戻ることはなかった。
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「確認を怠るな。」
「もちろんだ。」
またも画面に通知が表示される。
今度は冴木からだ。
矢高の連絡先を伝えるメッセージだった。
ーどれどれ…山田正良のこと矢高慎吾。こちらの方はご機嫌はいかがかな…。
椎名は指を滑らせる。
「お久しぶり。」
しばらくして返信があった。
「お久しぶりです。流石の活躍ぶりですね少佐。」
「いま高橋君と話してた。」
「高橋勇介ですか?」
「うん。」
「懐かしいですね。」
「うん。」
「さては奴の分身が殺された件でしょうか。」
「山田君。君の仕業だろう。」
「はい。」
「どうして佐々木を消した?」
「あなた様に直接コンタクトを取り出したからです。」
「…。」
「チェス組の連中や、陶自身が少佐とコンタクトをとるのは自然です。」
「同志だもんな。」
「はい。しかし佐々木はただのお目付役。チェス組が無事5.1テロを成功させれるよう、その支援をするだけの影の存在。決して表に出てはならない。」
「うん。」
「そんな影が出しゃばって少佐と直接接点を持った。」
「出過ぎたわけだ。」
「佐々木の動き。何かを感じ取った故の行動ではないでしょうか。」
「だと思う。わざわざ高橋勇介の名前で電話をかけてきたんだから。」
「無駄に勘のいい人間は邪魔以外なんでもありません。そこで奴にはご退場いただいたわけです。」
「手際がいい。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
メッセージのやりとりをする画面の上部に陶からのものが表示された。
「今確認が取れた。」
椎名はそれに了解と返して、矢高とのやりとりに戻った。
「ルークは陶によって消された。」
「え?ルークとは陶の特高における有力なエスでは?」
「内ゲバだよ。」
「あぁ…オフラーナお得意の。」
「チェス組のクイーンとルーク。この主力を壊れた人形のようにぽいぽい捨てる。思い切りがいいというか。短絡的というか。」
「私にとってオフラーナの粛正は、恐怖以外のなにものでもありません。」
「俺は慣れてる。」
「自分は生理的に無理です。」
「あそこの掃除は徹底してる。ルークに毒を盛った人間の始末も完了済みだそうだ。」
「あぁ…。」
「どうした?」
「無慈悲すぎます。そこがオフラーナの無理なところです。」
「あぁそういうことか。」
「はい。ただの駒としてしか見ていない情報機関特有のあの雰囲気がどうも性に合わないんです。」
「だから君は軍を選んだといういう訳か。」
「いいえ。」
「?」
「少佐。あなたがいらっしゃったからですよ。」
この矢高からのメッセージを椎名はしばし見つめた。
「5月9日の戦勝記念日には凱旋と行きたいものだ。」
「ベルゼグラードですね。」
「ああ。」
「私もお供してよろしいでしょうか。」
「もちろんだ。」
「Слава Отечеству.祖国に栄光あれ。」
「Слава Отечеству.祖国に栄光あれ。」
椎名は電話の画面を暗くして、それをそっと置いた。
そして誰にも聞こえないようにひっそりと呟く。
「全部殺す。」
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「またもノビチョクが使用された由。」
「え?また?」
議員会館の自分の部屋にあるソファで横になっていた仲野康哉は眠り眼をこすって飛び起きた。
「今度は現役警察官に被害が。」
「え?この間は警察OB、今度は現役?」
「はい。」
「なんで警察ばかりが。」
「わかりません。ですが我々治安組織に対する重大な挑戦と捉えて良いでしょう。」
「ふうむ…。」
「仲野先生はロシアと深いパイプがあります。どうでしょう。今こそ先生のその人脈を利用して、独自にロシアからの協力を取り付けるよう動くというのは。」
「私がロシアに協力を仰ぐ?」
「はい。」
「何の協力を仰ぐんですか。」
「私が言うのもどうかと思いますが、日本の治安機関はダメです。こうも立て続けに化学兵器によるテロ事件を許してしまうほどですから。」
「内調がそれ言いますか。」
「はい。わたしはちゃんとした治安機関をこの国に作りたいのです。」
「ちゃんとした治安機関とは。」
「先生が精通するロシアという国をお手本にすれば、なんとなくイメージできるでしょうか。」
「…。」
「ロシアの情報機関と連携をする用意は私にはあります。」
「待て。」
「はい。」
「陶専門官。君はアルミヤプラボスディアによる我が国への何らかの作戦行動が近いのではないかと、私に言いましたね。」
「はい。」
「アルミヤプラボスディアはツヴァイスタン人民軍に深いつながりを持つ民間軍事会社。ツヴァイスタン人民軍はロシア軍とも緊密に連携をしています。ロシアと連携をすると言うことは、アルミヤプラボスディアと手を結ぶと言うことにもなりませんか。」
「いいえ。」
「ではどう捉えれば?」
「ロシアに止めてもらうのです。」
「アルミヤプラボスディアをロシアに止めてもらう?」
「はい。ツヴァイスタンの旧宗主国ロシアに手綱を締めてもらう。そのための調整を私がロシア情報部と行います。」
「君がひとりで?」
「はい。」
この時仲野の携帯が震え、何らかの情報を彼に伝えたようだった。
彼はおおきく息をついた。
「どうされました?先生。」
「あ、いや…。あの、陶専門官。君はロシアという国のことをよく知らないようです。」
「と言いますと?」
「そんなことをしてみなさい。奴らはそれに乗じて我が国を乗っ取ります。」
「…。」
「なぜソ連が崩壊し、いまのツヴァイスタンがあるか。それを考えたことがありますか。」
「いえ。」
「そんなにロシアラブならツヴァイスタンなんて国をやめてとっとと元の姿に戻れば良い。でもそうなる様子は一つも見えない。なぜ?」
「なぜでしょう。」
「ツヴァイスタン自身がロシアに愛想を尽かしているんです。表向き一枚岩を装ってる旧東側ですが、その裏で実は微妙なんですよ。」
「…。」
「このタイミングで旧宗主国がツヴァイスタンの連中に再び俺らの指導下に入れと偉そうに迫る。それはツヴァイスタンからの反感を買うだけの行動になることでしょう。」
「先生。」
「はい。」
「先生が今おっしゃった考えは平時においては正しいのかもしれません。しかしいまは平時ではありません。有事です。」
「有事…。」
「そうです。有事では力こそが正義です。利害調整は力によって成されます。いま必要なのはツヴァイスタンを制御し、いざとなれば物理的にアルミヤプラボスディアを止めることが出来る力です。」
「だからなぜそこにロシアが介在する必要があると言うんです。我が国には自衛隊という実力組織もある。」
「自衛隊にできますかね?」
「え?」
「戦後一度も実戦を経験したことがない自衛隊が、百戦錬磨の奴らを止めることが出来ますか?」
「それができるようにここ6年間、死に物狂いで防衛整備をしてきたんだろう。」
「はぁ…。」
「なんだ陶専門官。」
「だからそれだと与党政友党に手柄持って行かれるでしょうが。」
仲野は言葉を詰まらせた。
「万年野党をいつまで演じるつもりなんですか?」
「…。」
「すぐそこに政権与党になるチャンスが転がってるんですよ。」
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救命救急センターの待合室にひとり座る百目鬼がいた。
奥の自動ドアが開き、医師が姿を現した。
百目鬼は立ち上がった。
「容態は安定しています。」
医師のこの言葉を聞き百目鬼は安堵の表情を見せた。
「片倉さんからは有機リン系の神経剤らしきものの検出はされていません。」
「では?」
「極度の疲労が原因かと。」
「…。」
「片倉さんのほうは休めば回復します。」
「紀伊の方は?」
医師は首を振る。
「意識はありません。呼吸も弱くなってきています。時間の問題かと。」
百目鬼はベンチに座り、そのままそれに垂れかけた。
「どうする…。頭とその補佐役が同時に欠けたら特高は機能不全だ…。」
そのとき百目鬼の携帯が鳴った。
「はい百目鬼です。」
彼は覚醒したかのように突如すっくと身を起こした。
「松永課長が復帰…。」
「なるほど今回のノビチョク使用で疑いが晴れたと…。」
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電話を切った彼は思わず呟いた。
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