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150 第139話

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枕元の携帯電話が光ったため、椎名はうっすらと目を開きそこに目を落とす。
日付が変わった4月30日の午前1時半だった。
ーなんだこの夜中に…。
彼は自分の動きを悟られないように、布団を被ったままそれを操作する。
空閑からのメッセージだった。
「ルークから聞いた。石川の警察電話が不通になる障害が発生している。」
「ほう。」
「この計画は聞いていないが。」
「ヤドルチェンコの仕込みじゃなくて?」
「ヤドルチェンコ?」
「うん。」
空閑からの返信が止まった。
ー空閑…どうした…。
「派手にかますよう奴に頼んだって言ってたろ。」
相変わらず彼からの返信が無い。
ーおい…なんだこれは…。
「大丈夫か?」
「すまん。ちょっと頭痛が…。」
ー頭痛?
「鍋島にしてもらった。」
「えっ?」
「俺を鍋島そのものにする催眠をかけてもらった。」
「なんだ…それ…。」
「話すと長くなる。とにかく俺はあいつの手で鍋島能力を手に入れた。」
「待て。鍋島能力ってまさか。」
「そう。ルークが欲しがっていたやつさ。」
ーで、頭痛か…。
ーナイトと一緒だな。
ーなるほど頭痛は鍋島コピーの共通症状ってことか…。
ーこれで空閑が本当に鍋島能力を手に入れたならまだ良いんだが、どうも思ったような効果を得られていないみたいだしな…。
「すまんキング。ヤドルチェンコってなんだ?」
ーえ?
椎名は改めて空閑の異常さを感じとった。
ーヤドルチェンコの存在が記憶から消えてるのか…。
「君は何度も彼と連絡を取り合ってるはずだけど。」
「携帯を見ても連絡を取り合った形勢がないんだが。」
ーそりゃそうだ…。残らないように連絡取り合ってるんだから。
「待ってビショップ。それで本当にあさって大丈夫なんだろうな?」
「どういうこと?」
「そのヤドルチェンコがキーマンなんだけど…。」
「は?」
ーマジかよ…。こいつは想定外だ…。
ーしかしここで妙にこいつに混乱されると、余計に面倒くさいことになる。
「わかった。後は俺が代わりに奴とコンタクトをとる。ビショップ、君はゆっくり休んでくれ。」
「ゆっくりもしてられない。」
「どうして。」
「妙な奴らが俺の周りをウロついている。」
ーそうか…公安は空閑も抑え始めたか…。
ーならばここは空閑とヤドルチェンコとの接点を切ってしまう絶好の機会と言うことか。
「警察がウロつくなら尚更動かない方が良い。」
「しかし…。」
「普通にしてろ。普通にしてる分には奴らはなにも仕掛けてこない。」
「今の状態が普通じゃないんだ。」
「どういうことだ?」
「虫みたいなものが体を這いずり回ってる。」
ーえ…。
「いまこうやって携帯を持っている手も、足も虫だらけなんだ。」
ーそれ…シャブ中によくある症状だろ…。
「頼む。」
「キング。」
「助けてくれ。」
光定は朝戸に彼の妹と瓜二つの容貌をもつ山県久美子の写真をあてがって、その精神状態の平静を保たせていた。朝戸の喪失感の源である妹の代替物をもって心の穴を埋めたと聞いたことがある。
ならばこの空閑も喪失感の元になるものの代替物を示すことが出来れば、副作用を抑えることが出来るのかもしれない。
ー空閑の精神的支柱は…。
椎名は空閑と初めて接点を持ったときの記憶を呼び起こした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5年前
「今日からは俺と山田が交代でお前の面倒を見ることになった。」
「田中さんは?」
陶は首を振った。
「それは残念です…。」
「だがおかげでコソコソする必要がなくなったってわけだ。」
椎名は指で机の上をたたき出した。
「・・-・・ ・・- ・・-・ -- ・・- -・-・・ ・-・-・・ 盗聴器。」
「-・・-・ ・-・-・ -・ ・・ ・- ・-・ --・-・ ・-・-・・ / 
・・-・・ --・ -・・・ ---・- ・・ --・-・ -・ ・-・-・・問題なし。取り外した。」
「証拠を見せろ。」
パスケースのようなものを胸元から取り出した陶はそれを机の上に置いた。
「これでどうだ。」
「双頭の鷲…。」
「そうツヴァイスタン人民共和国オフラーナの旗章だ。」
「なるほど。」
「もしもこの部屋に盗聴器が仕掛けられているなら、盗撮カメラももちろんそのままだ。だとすれば今、おれがここでこれを見せることは…。」
「自殺行為。」
「そう。だからその辺り理解してくれ。」
「わかった。」
椎名は立ち上がった。
「それにしても急な緩和具合だな。」
「俺が手を回した。」
「はっ…まるでザルだ。いままでの警戒態勢は何だったんだ。」
「協力者はまだまだいるんだ。」
「キャプテンよりも上にか?」
「上かどうかは分からんが、同格程度の人間はいる。」
「浸透具合も相当なもんだ。」
「下間一族の働きによるところが大きい。」
「下間…。」
「キャプテンからはいずれ亡命を装って日本人がやってくると聞かされていた。その時は俺がそのエスコート役になるよう指示をされている。」
「逮捕後も君は彼のコントロール下にあると言うことか?」
「任務に忠実と言ってくれないか。」
「すまない。敬服する。」
「ありがとう。」
「お前の活動を全面的に補助するにはこうやって面と向かって話す機会が必要だろう。そのためのこの場の設定だよ。」
「なるほど。」
陶は4枚の写真を彼の前に並べた。
「これは?」
「君に協力してくれる人間たちだ。」
その中の一人を陶は指さした。
「空閑光秀。」
「くがみつひで…。」
「こいつは下間悠里の忠実な部下でな。」
「ユーリの…。」
「…悠里と面識あるのか?」
「まぁ。」
「それなら話は早い。この空閑は悠里に心酔した人間だ。悠里から逮捕される前に一連の工作について聞かされていた男だ。悠里は日本でインターネットコミュニティのコミュというものを運営していて、協力者予備軍を集めていた。空閑はそこの事務局の人間。」
「つまり協力者予備軍の管理をする人間ということか。」
「そうだ。」
「俺は空閑を使って任務を遂行していけば良いと言うことだな。」
陶はうなずく。
「とにかくこいつは悠里の信者だ。こいつは悠里を解放させることがすべてだ。空閑を抑えていればこの連中は手足のように動くはず。」
「わかった。」
「ちなみに空閑の他には紀伊、光定、朝戸だ。」
「紀伊、光定、朝戸…。」
「紀伊は最近、警察に新設された公安特課の精鋭部隊、警視庁公安特課機動捜査班のスタッフ。光定は鍋島能力の研究者。朝戸は鍋島能力の実験体だ。」
「鍋島能力の実験体?」
「そうだ。実験に関する詳細はまた別の機会にお前に教えるが、この朝戸は光定によって完全に制御されている、いわば人形のような存在だ。つまり我々の鉄砲玉になり得る存在と考えてくれて良い。」
「わかった。」
「因みにお前はここで俺らの調べを受けた後、石川のほうで解放される。」
「石川?」
「ああ。悠里たちが失敗した石川だ。」
「なぜ石川。」
「悠里らの残党が多く残っているその地にお前を敢えて据えて、様子を見るんだよ。」
「意外と徹底してるんだな。」
「まあな。」
「ここでは石川に行った後、お前がどのように空閑と接点を持つのかも綿密に打ち合わせておきたい。」
それからしばらくして仁川は椎名賢明として石川で生活をすることとなった。
ーまずは最寄りの牛丼屋を使え。そこからお互いで接点を持つ方法を探ってくれ。
椎名は自宅近くの牛丼屋に入った。
「牛丼並盛りで。」
待つこと数分。注文の品が目の前に出された。
なんだこのスピード感は。ツヴァイスタンではこんなことあり得なかった。
店側の対応の良さに若干の戸惑いを感じながら、備え付けの箸を手にした時のこと、聞き覚えのある言語が左隣から聞こえた。
「Вы король? お前がキングか?」
ーキング…。俺のコードネームか…。
「Да. そうだ。」
「Я епископ.Люк рассказал мне о тебе. 俺はビショップ。ルークからお前のことを聞いている。」
ールーク…。なるほど…チェスか…。
「Вы собираетесь спасти Юрия, не так ли? ユーリを救うんだろ?」
「Конечно. もちろん。」
「Я позабочусь об этом. 俺に任せろ。」
人目を盗むように左隣の男は一枚の紙切れを椎名に渡し、店から姿を消した。
牛丼を掻き込んだ椎名は店のトイレに入った。
メモを開く音
「金沢市郊外のネットカフェ…。」
店の名前を頭に入れた椎名はそれを便所に流した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー空閑の精神的支柱は下間悠里…。
「助けてくれ」というメッセージを最後に空閑からのものはない。
症状が落ち着いたのか、それとも症状が酷くなり連絡すら出来ない状況にあるのか。
ーここで自殺なんてのは勘弁だ…。
布団を頭から被った椎名は目を瞑る。
ーダメ元で朝戸みたいに悠里の写真でも奴に送ってみるとか…。
「下間悠里が逮捕されたときの写真って手に入るか?」
陶に送ったこのメッセージの返信はすぐだった。
「手に入る。」
「至急俺まで送ってほしい。」
「わかった。」
「いつ送ってもらえる?」
「1時間もかからない。」
「できる限り早急に頼む。」
「わかったすぐ送る。」
ーここで空閑にコケられたらいろいろ計算が狂ってくるんだわ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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日付が変わった4月30日の午前1時半だった。
ーなんだこの夜中に…。
彼は自分の動きを悟られないように、布団を被ったままそれを操作する。
空閑からのメッセージだった。
「ルークから聞いた。石川の警察電話が不通になる障害が発生している。」
「ほう。」
「この計画は聞いていないが。」
「ヤドルチェンコの仕込みじゃなくて?」
「ヤドルチェンコ?」
「うん。」
空閑からの返信が止まった。
ー空閑…どうした…。
「派手にかますよう奴に頼んだって言ってたろ。」
相変わらず彼からの返信が無い。
ーおい…なんだこれは…。
「大丈夫か?」
「すまん。ちょっと頭痛が…。」
ー頭痛?
「鍋島にしてもらった。」
「えっ?」
「俺を鍋島そのものにする催眠をかけてもらった。」
「なんだ…それ…。」
「話すと長くなる。とにかく俺はあいつの手で鍋島能力を手に入れた。」
「待て。鍋島能力ってまさか。」
「そう。ルークが欲しがっていたやつさ。」
ーで、頭痛か…。
ーナイトと一緒だな。
ーなるほど頭痛は鍋島コピーの共通症状ってことか…。
ーこれで空閑が本当に鍋島能力を手に入れたならまだ良いんだが、どうも思ったような効果を得られていないみたいだしな…。
「すまんキング。ヤドルチェンコってなんだ?」
ーえ?
椎名は改めて空閑の異常さを感じとった。
ーヤドルチェンコの存在が記憶から消えてるのか…。
「君は何度も彼と連絡を取り合ってるはずだけど。」
「携帯を見ても連絡を取り合った形勢がないんだが。」
ーそりゃそうだ…。残らないように連絡取り合ってるんだから。
「待ってビショップ。それで本当にあさって大丈夫なんだろうな?」
「どういうこと?」
「そのヤドルチェンコがキーマンなんだけど…。」
「は?」
ーマジかよ…。こいつは想定外だ…。
ーしかしここで妙にこいつに混乱されると、余計に面倒くさいことになる。
「わかった。後は俺が代わりに奴とコンタクトをとる。ビショップ、君はゆっくり休んでくれ。」
「ゆっくりもしてられない。」
「どうして。」
「妙な奴らが俺の周りをウロついている。」
ーそうか…公安は空閑も抑え始めたか…。
ーならばここは空閑とヤドルチェンコとの接点を切ってしまう絶好の機会と言うことか。
「警察がウロつくなら尚更動かない方が良い。」
「しかし…。」
「普通にしてろ。普通にしてる分には奴らはなにも仕掛けてこない。」
「今の状態が普通じゃないんだ。」
「どういうことだ?」
「虫みたいなものが体を這いずり回ってる。」
ーえ…。
「いまこうやって携帯を持っている手も、足も虫だらけなんだ。」
ーそれ…シャブ中によくある症状だろ…。
「頼む。」
「キング。」
「助けてくれ。」
光定は朝戸に彼の妹と瓜二つの容貌をもつ山県久美子の写真をあてがって、その精神状態の平静を保たせていた。朝戸の喪失感の源である妹の代替物をもって心の穴を埋めたと聞いたことがある。
ならばこの空閑も喪失感の元になるものの代替物を示すことが出来れば、副作用を抑えることが出来るのかもしれない。
ー空閑の精神的支柱は…。
椎名は空閑と初めて接点を持ったときの記憶を呼び起こした。
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「今日からは俺と山田が交代でお前の面倒を見ることになった。」
「田中さんは?」
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「それは残念です…。」
「だがおかげでコソコソする必要がなくなったってわけだ。」
椎名は指で机の上をたたき出した。
「・・-・・ ・・- ・・-・ -- ・・- -・-・・ ・-・-・・ 盗聴器。」
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「これでどうだ。」
「双頭の鷲…。」
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「なるほど。」
「もしもこの部屋に盗聴器が仕掛けられているなら、盗撮カメラももちろんそのままだ。だとすれば今、おれがここでこれを見せることは…。」
「自殺行為。」
「そう。だからその辺り理解してくれ。」
「わかった。」
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「それにしても急な緩和具合だな。」
「俺が手を回した。」
「はっ…まるでザルだ。いままでの警戒態勢は何だったんだ。」
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「上かどうかは分からんが、同格程度の人間はいる。」
「浸透具合も相当なもんだ。」
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「ありがとう。」
「お前の活動を全面的に補助するにはこうやって面と向かって話す機会が必要だろう。そのためのこの場の設定だよ。」
「なるほど。」
陶は4枚の写真を彼の前に並べた。
「これは?」
「君に協力してくれる人間たちだ。」
その中の一人を陶は指さした。
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「くがみつひで…。」
「こいつは下間悠里の忠実な部下でな。」
「ユーリの…。」
「…悠里と面識あるのか?」
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「それなら話は早い。この空閑は悠里に心酔した人間だ。悠里から逮捕される前に一連の工作について聞かされていた男だ。悠里は日本でインターネットコミュニティのコミュというものを運営していて、協力者予備軍を集めていた。空閑はそこの事務局の人間。」
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「俺は空閑を使って任務を遂行していけば良いと言うことだな。」
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「とにかくこいつは悠里の信者だ。こいつは悠里を解放させることがすべてだ。空閑を抑えていればこの連中は手足のように動くはず。」
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「そうだ。実験に関する詳細はまた別の機会にお前に教えるが、この朝戸は光定によって完全に制御されている、いわば人形のような存在だ。つまり我々の鉄砲玉になり得る存在と考えてくれて良い。」
「わかった。」
「因みにお前はここで俺らの調べを受けた後、石川のほうで解放される。」
「石川?」
「ああ。悠里たちが失敗した石川だ。」
「なぜ石川。」
「悠里らの残党が多く残っているその地にお前を敢えて据えて、様子を見るんだよ。」
「意外と徹底してるんだな。」
「まあな。」
「ここでは石川に行った後、お前がどのように空閑と接点を持つのかも綿密に打ち合わせておきたい。」
それからしばらくして仁川は椎名賢明として石川で生活をすることとなった。
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椎名は自宅近くの牛丼屋に入った。
「牛丼並盛りで。」
待つこと数分。注文の品が目の前に出された。
なんだこのスピード感は。ツヴァイスタンではこんなことあり得なかった。
店側の対応の良さに若干の戸惑いを感じながら、備え付けの箸を手にした時のこと、聞き覚えのある言語が左隣から聞こえた。
「Вы король? お前がキングか?」
ーキング…。俺のコードネームか…。
「Да. そうだ。」
「Я епископ.Люк рассказал мне о тебе. 俺はビショップ。ルークからお前のことを聞いている。」
ールーク…。なるほど…チェスか…。
「Вы собираетесь спасти Юрия, не так ли? ユーリを救うんだろ?」
「Конечно. もちろん。」
「Я позабочусь об этом. 俺に任せろ。」
人目を盗むように左隣の男は一枚の紙切れを椎名に渡し、店から姿を消した。
牛丼を掻き込んだ椎名は店のトイレに入った。
メモを開く音
「金沢市郊外のネットカフェ…。」
店の名前を頭に入れた椎名はそれを便所に流した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー空閑の精神的支柱は下間悠里…。
「助けてくれ」というメッセージを最後に空閑からのものはない。
症状が落ち着いたのか、それとも症状が酷くなり連絡すら出来ない状況にあるのか。
ーここで自殺なんてのは勘弁だ…。
布団を頭から被った椎名は目を瞑る。
ーダメ元で朝戸みたいに悠里の写真でも奴に送ってみるとか…。
「下間悠里が逮捕されたときの写真って手に入るか?」
陶に送ったこのメッセージの返信はすぐだった。
「手に入る。」
「至急俺まで送ってほしい。」
「わかった。」
「いつ送ってもらえる?」
「1時間もかからない。」
「できる限り早急に頼む。」
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ーここで空閑にコケられたらいろいろ計算が狂ってくるんだわ…。
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